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融資を断られて、今月の社会保険料が払えそうにない。
給料は何とか払ったけれど、その分、社会保険料の口座の残高が足りない。年金事務所から電話が来たら、何と言えばいいのか分からない。
そんな不安を抱えたまま、通知を開けずにいる経営者も少なくないと思います。
でも、社会保険料は放っておくほど打てる手が減り、早く相談するほど選べる手が増える支払いです。
この記事では、社会保険料を滞納すると会社がどうなるのか、差し押さえの前に使える猶予の制度、年金事務所への相談の準備までを、日本年金機構の資料をもとにまとめました。
この記事の結論
- 社会保険料(厚生年金保険料・健康保険料など)の納付期限は翌月末。督促状の期限を過ぎると延滞金がかかり、預金や売掛金が差し押さえられることがある。
- 一時に納めると事業の継続が難しいなら、納期限から6か月以内に「換価の猶予」を申請すると、原則1年以内の分割で納められる場合がある。
- 相談は、督促や差し押さえを待たずに、管轄の年金事務所へ早めに。財産と収支の資料を持っていく。
- 売掛金があって、猶予の分割では足りないときだけ、資金化も比べる。猶予で間に合うなら使わない。
売掛金が差し押さえられる前に、自分で資金にする方法もあります
入金待ちの請求書があるなら、それを先に資金にして社会保険料にあてることもできます。日本資金支援センターは、売掛先に知らせない2社間で進められます。
まずは年金事務所への猶予の相談が先です。見積もりは、比べる材料として取っておけます。
社会保険料を滞納すると会社はどうなる?督促から差し押さえまでの流れ
| 段階 | 起きること |
|---|---|
| 納付期限(翌月末) | 4月分なら5月末が期限。口座の残高不足で引き落とされない |
| 納付督励・督促状 | 年金事務所から電話・文書・訪問で納付を促される。督促状で期限が指定される |
| 督促状の期限を過ぎる | 延滞金がかかる |
| 財産調査 | 完納の見込みが立たないと、会社の財産が調べられる |
| 滞納処分(差し押さえ・換価) | 不動産・預金・売掛金などが差し押さえられ、売却や取り立てにあてられる |
納付期限から督促、延滞金がかかるまで
| 期間 | 割合 | 30万円を滞納した場合の延滞金(架空の例) |
|---|---|---|
| 納付期限の翌日から3か月まで | 年2.8% | 30日遅れ:約600円 |
| 3か月を過ぎた日から | 年9.1% | 半年遅れ:約8,900円 1年遅れ:約22,500円 |
厚生年金保険料や健康保険料などの社会保険料は、日本年金機構の案内では、納付対象の月の翌月末日が納付期限です。
口座振替の残高が足りずに期限を過ぎると、年金事務所から電話や文書、訪問で納付を促されます。日本年金機構はこれを「納付督励」と呼んでいます。
あわせて督促状が届き、そこに指定された期限までに納めないと、延滞金がかかります。
延滞金の割合は毎年変わり、日本年金機構の「延滞金について」では、2026年(令和8年)は、納付期限の翌日から3か月までが年2.8%、それを過ぎると年9.1%とされています。
上の表のように、3か月を過ぎると割合が一気に上がるので、「少し遅れるだけ」のつもりが長引くほど負担が増えます。
ただ、延滞金そのものより怖いのは、その先の差し押さえです。延滞金が数千円だからと安心して放っておくと、次の段階に進んでしまいます。
督促状が届いたら、開けずに置いておくのではなく、すぐに中身と期限を確かめてください。
ポイント
- 社会保険料の納付期限は翌月末。
- 督促状の期限を過ぎると延滞金。2026年は3か月まで年2.8%、その後は年9.1%。
- 延滞金より、その先の差し押さえを避けることが大切。
差し押さえの対象には売掛金も入る|売掛先に通知が届く
| 財産 | 差し押さえられると |
|---|---|
| 預金 | 口座のお金が引き出せなくなり、保険料などにあてられる |
| 売掛金 | 売掛先に差し押さえの通知が届き、売掛先は会社ではなく年金事務所に払うことになる |
| 不動産 | 売却(換価)されて、保険料などにあてられる |
日本年金機構は、納付督励をしても完納の見込みが立たない場合は、財産を調べ、必要に応じて滞納処分(差し押さえ・換価)を行うと説明しています。
差し押さえの対象として挙げられているのは、不動産、預金、そして売掛金債権です。
社会保険料の滞納処分は、厚生年金保険法で「国税滞納処分の例による」とされていて、国税徴収法の手続きにならいます。
国税徴収法では、債権の差し押さえは、第三債務者に「債権差押通知書」を送ることで行うと定められています。
売掛金でいえば、第三債務者は売掛先です。つまり、売掛金が差し押さえられると、売掛先に、自社が社会保険料を滞納していることが伝わってしまうのです。
売掛先は、その後の入金を会社ではなく年金事務所に払うことになり、会社の手元にはお金が入りません。
取引先との信頼に響き、次の発注が減ることも考えられます。預金が差し押さえられれば、給料や仕入れの支払いも止まってしまいます。
差し押さえは、事業そのものを止めかねない段階です。だからこそ、その前に猶予の制度を使うことが大切です。
ポイント
- 差し押さえの対象には、預金・不動産に加えて売掛金も入る。
- 売掛金の差し押さえでは、売掛先に通知が届く。
- 差し押さえは事業を止めかねない。その前に猶予を使う。
社会保険料を滞納しそうな会社が、差し押さえの前に使える猶予の制度
| くらべること | 換価の猶予 | 納付の猶予 |
|---|---|---|
| どんなとき | 一時に納めると、事業の継続や生活の維持が難しくなるおそれがある | 災害・病気・事業の休廃業・事業の著しい損失などで、一時に納められない |
| 申請の期限 | 納期限から6か月以内 | (理由ごとに手引きで確認) |
| 認められると | 差し押さえた財産の売却が猶予される。延滞金の一部が免除 | 新たな差し押さえを受けない。延滞金の全部または一部が免除 |
換価の猶予の条件|納期限から6か月以内・ほかの滞納がないこと
| 状況 | 一時に納めると、事業の継続や生活の維持が難しくなるおそれがある |
|---|---|
| 姿勢 | 納付について誠実な意思がある(優先して納める意思がある) |
| 申請の期限 | 納期限から6か月以内に、管轄の年金事務所に申請書を出す |
| ほかの滞納 | 猶予を受ける分のほかに、保険料の滞納がない |
| 猶予の期間 | 1年の範囲内。原則、各月に分割して納める |
| 担保 | 原則必要。ただし、猶予額が100万円以下、期間が3か月以内、または提供できる財産がないなど特別の事情がある場合は不要 |
融資を断られて社会保険料が払えないとき、まず確かめたいのが「換価の猶予」です。
日本年金機構の「猶予の申請の手引き」によると、一時に納めると事業の継続が難しくなるおそれがあり、納付について誠実な意思があると認められる場合に、申請によって受けられます。
申請の期限は、猶予を受けたい保険料の納期限から6か月以内です。この期限を過ぎると、この形では申請できなくなるので、早めの相談が欠かせません。
認められると、1年の範囲内で、会社の財産や収支から見て最も早く納め終えられる期間が猶予の期間になり、原則、その間に毎月分割して納めます。
やむを得ない理由があれば、申請によって最長2年まで延ばせることもあると、手引きには書かれています。
注意したいのは、猶予を受ける分のほかに保険料の滞納があると、原則として認められないことです。
つまり、何か月分も滞納がたまってからでは、使いにくくなる制度なのです。
担保は原則必要ですが、猶予額が100万円以下か、期間が3か月以内なら不要とされています。中小の会社なら、担保なしで使える場合も多いはずです。
猶予の期間中は、延滞金の一部も免除されます。
ポイント
- 換価の猶予は、納期限から6か月以内に申請する。
- ほかの保険料の滞納があると、原則として認められない。
- 100万円以下または3か月以内なら、担保は不要。
大きな赤字が出たときは「納付の猶予」も確かめる
| 事実 | 中身 |
|---|---|
| 災害・盗難 | 震災・風水害・火災などの災害を受けた、盗難に遭った |
| 病気・負傷 | 個人事業主本人や生計を同じくする親族が病気・けがをした(法人の事業所は対象外) |
| 事業の休廃業 | 事業を廃止した、または休止した |
| 事業の著しい損失 | 直近1年の損失が、その前の1年の利益の2分の1を超えている など |
| 上に類する事実 | 売上の著しい減少や経費の著しい増加で損失が出ている |
社会保険料の猶予には、換価の猶予のほかに、もうひとつ「納付の猶予」があります。
名前から災害のときだけの制度と思われがちですが、日本年金機構の手引きでは、事業で著しい損失を受けたことも、猶予を受けられる事実に挙げられています。
手引きによると、「著しい損失」とは、猶予を受けたい期間が始まる前の1年間の損益で、その前の1年間の利益の2分の1を超える損失が出ていることをいいます。
売上が大きく落ちた、経費が大きく増えたことで損失が出ている場合も、これに類する事実として扱われることがあります。
融資を断られた理由が「直近の決算が大きな赤字だったこと」なら、この条件に当てはまるかもしれません。
納付の猶予が認められると、新たな差し押さえを受けず、すでに差し押さえられた財産も申請によって解除される場合があり、延滞金の全部または一部が免除されます。
ただし、どちらの猶予が使えるか、自社が条件に当てはまるかは、最終的には年金事務所が判断します。自分で決めつけずに、決算書と試算表を持って相談することが大切です。
ポイント
- 納付の猶予は、災害だけでなく、事業の著しい損失でも使える場合がある。
- 前の1年の利益の2分の1を超える損失が目安。
- 使えるかどうかは年金事務所が判断する。決算書を持って相談する。
年金事務所に相談するときの準備と、伝えること
| そろえるもの | 何のために |
|---|---|
| 納入告知書・督促状 | どの月の分が、いくら残っているかを示す |
| 通帳・現金の残高 | 今すぐ払える額を示す |
| 今後数か月の入金と支払いの予定 | 毎月いくらなら分割で払えるかを示す |
| 売掛金・借入・不動産などの一覧 | 財産と収支の状況を説明する(申請書の添付書類に使う) |
相談先は、会社を管轄する年金事務所です。日本年金機構も、納付が難しいときは管轄の年金事務所に相談するよう案内しています。
換価の猶予の申請には、申請書とあわせて、会社の財産や収支の状況を示す書類(財産収支状況書、または財産目録と収支の明細書)を出します。日本年金機構のサイトには、書き方を説明する動画も用意されています。
相談の前に、上の表のものをそろえておくと、話がずっと早く進みます。
年金事務所で伝えることは、次の3つです。
- どの月の分が、いくら払えていないか
- 今すぐ払える額と、毎月払える額
- いつまでに払い終えられる見込みか
このとき大切なのは、払える額を少し控えめに見積もり、約束した分割は必ず守ることです。
手引きには、分割の計画どおりに納めないときや、新たに保険料の滞納が生じたときは、猶予が取り消されることがあると書かれています。
猶予が取り消されると、差し押さえの手続きが進むおそれがあります。毎月の保険料と分割分の両方を払えるかを、必ず日付の表で確かめてから申請してください。
ポイント
- 相談先は、管轄の年金事務所。
- 財産と収支の資料、今後の入金予定をそろえて行く。
- 分割の計画を守れないと、猶予が取り消されることがある。
社会保険料の滞納と会社の資金繰り|差し押さえを避けるための順番
| 順番 | やること |
|---|---|
| 1 | 払えない月の分と、今後の資金繰りを日付の表にする |
| 2 | 管轄の年金事務所に相談し、換価の猶予を申請する |
| 3 | 取引先への支払いの相談などで、分割分の原資を作る |
| 4 | それでも足りず、売掛金があれば資金化も比べる |
社会保険料を後回しにしがちな理由と、その危うさ
| 影響 | 中身 |
|---|---|
| 従業員 | 給料から差し引いた従業員の負担分も、納めていないことになる |
| 融資 | 金融機関に納付の状況を聞かれたとき、説明が必要になる |
| 取引先 | 売掛金が差し押さえられると、売掛先に知られる |
融資を断られて資金が足りなくなると、多くの経営者は、給料と取引先への支払いを優先して、社会保険料を後回しにしがちです。
年金事務所はすぐには取り立てに来ないように見えるので、「少しぐらいなら」と思ってしまうのも無理はありません。
でも、社会保険料には、会社の負担分だけでなく、従業員の負担分も入っています。
厚生年金保険法では、事業主は従業員の負担分を給料から差し引くことができると定めていて、多くの会社は毎月の給料から天引きしています。
つまり、社会保険料を滞納すると、従業員から預かったお金を、会社の資金繰りに使っていることになるのです。
また、融資の相談で金融機関から納付の状況を聞かれたときに、滞納があると説明が必要になり、話が進みにくくなることがあります。
反対に、換価の猶予を受けて分割で納めていれば、「納付の見通しが立っている」と示せます。猶予の手続きは、次の融資の相談の準備にもなるのです。
支払いの順番を整理したい方は、支払いの優先順位の記事も参考にしてください。
ポイント
- 社会保険料には、従業員から預かった負担分も入っている。
- 滞納は、融資の相談でも説明が必要になる。
- 猶予を受けて分割で納めることが、次の融資の準備にもなる。
猶予で足りず売掛金があるなら、日本資金支援センターも候補に
| しくみ | 2社間ファクタリング(売掛先に知らせずに完結) |
|---|---|
| 必要な書類 | 請求書・通帳のコピー・本人確認書類の3点 |
| 手続き | 来店不要・オンラインで完結。担当者が契約までサポート |
| 早さ・金額 | 最短即日。買取の上限は500万円 |
| 手数料 | 2%から(下限の数字。実際は審査で決まる) |
| 対象 | 法人・個人事業主(設立年数は問わない) |
社会保険料が払えないときの第一の手は、年金事務所での猶予の相談です。猶予の分割で間に合うなら、それがいちばん負担の小さい方法です。
そのうえで、「何か月分も滞納がたまって猶予を使いにくい」「分割分と毎月の保険料の両方は払えない」という会社で、売掛金があるなら、ひとつ候補を置いておきます。
日本資金支援センターは、売掛金を買い取る2社間ファクタリングの会社です。
この記事で紹介する理由は、売掛先に知られずに、自分の手で売掛金を資金にできるからです。差し押さえで売掛先に通知が届く前に、取引の関係を守りながら滞納を解消する道になります。
書類は請求書・通帳のコピー・本人確認書類の3点で、来店せずにオンラインで進められます。審査では、会社の決算だけでなく、売掛先や取引の内容も踏まえて判断されます。
一方で、手数料の「2%から」は一番安い場合の数字で、実際は審査で決まります。年利に直すと、延滞金よりずっと高くなることがほとんどです。
そのため、猶予の分割で間に合う会社は、資金化は使わないでください。すでに差し押さえを受けた売掛金、支払期限を過ぎた請求書、売掛金がない会社は、使えないと考えてください。
見積もりを取ったら、手数料を年利に直す記事で比べてから決めましょう。
ポイント
- 第一の手は、年金事務所での猶予の相談。
- 2社間なら、売掛先に知られずに滞納を解消できる。
- 猶予で間に合うなら、資金化は使わない。
売掛先に通知が届く前に。入金待ちの請求書を、自分の手で資金にする方法があります。
年金事務所への相談とあわせて、社会保険料を納めるお金を、取引の関係を守りながら用意できないか確かめてみませんか。
- 売掛先に知らせない2社間。取引の関係はそのまま
- 書類は請求書・通帳のコピー・本人確認書類の3点。来店不要
- 最短即日、買取の上限は500万円
※ 手数料は審査で決まります(2%は下限の数字)。猶予の分割で間に合うなら、使わなくて大丈夫です。
【この記事について】延滞金の金額(30万円を滞納した場合)は、2026年(令和8年)の割合で計算した架空の例です。延滞金の割合は毎年変わり、年をまたぐと割合が変わるため、実際の額は年金事務所で確かめてください。納付期限は日本年金機構「納付期限」、督促・延滞金・差し押さえの流れは日本年金機構「日本年金機構の取り組み(保険料徴収)」、延滞金の割合と計算方法は日本年金機構「延滞金について」、猶予の制度は日本年金機構「厚生年金保険料等の猶予(換価の猶予・納付の猶予)」と「猶予の申請の手引き」、保険料の源泉控除と滞納処分は厚生年金保険法第84条・第86条、債権の差し押さえの手続きは国税徴収法第62条(e-Gov法令検索)によります(いずれも2026年10月確認)。日本資金支援センターの特徴は、同社の公式サイトによります(2026年10月確認)。