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仕事は毎月ある。売上も伸びている。なのに、通帳の残高だけがいつも足りない。
「末締め翌々月末払い」の取引をしている下請けの事業者からは、こうした悩みがよく聞かれます。
月の初めに納めた仕事の代金が入るのは、およそ3か月後。その間の外注費や材料費、給料は、先に自分で払わなければなりません。
融資で埋めようにも、審査に時間がかかったり、断られたりして、思うようにいかないこともあります。
この記事では、なぜきついのかを数字で確かめたうえで、2026年に変わった法律の決まりと、融資に頼らずに入金までをつなぐ方法をまとめました。
この記事の結論
- 末締め翌々月末払いは、納めてから入金まで約60〜90日。売上が伸びるほど、立て替えも増える。
- 取適法(2026年1月に下請法から改正)の対象の取引なら、代金は受け取った日から60日以内に払う決まり。翌々月払いは見直しを相談できることがある。
- 外注費・仕入れの支払日を入金に合わせる、区切りごとに請求するなど、お金の出入りをそろえる工夫もある。
- 入金前の請求書は資金化もできる。ただし毎月使うと手数料で利益が削られるので、一時的なつなぎにとどめる。
仕事は毎月ある。足りないのは、入金までの「2か月の空白」だけ――という方へ
翌々月末に入る予定の請求書を先に資金にできれば、今月の外注費や給料に間に合うかもしれません。
日本資金支援センターは、取引先に知られない2社間で進められ、法人・個人事業主のどちらも対象です。
見積もりを取っても、使うかどうかはこの記事で比べてから決められます。
末締め翌々月末払いがきついのはなぜ?入金まで最長で約3か月のしくみ
| 理由 | 起きること |
|---|---|
| 入金までが長い | 月初に納めた分は約90日、月末に納めた分でも約60日待つ |
| 支払いは先に来る | 外注費・材料費・給料は、毎月先に出ていく |
| 売上が伸びるほど苦しい | 立て替える額が、売上に合わせて増える |
納めた日ごとに、入金までの日数を数える
| 納めた日 | 締め日 | 入金日 | 入金までの日数 |
|---|---|---|---|
| 10月1日 | 10月31日 | 12月31日 | 91日 |
| 10月15日 | 10月31日 | 12月31日 | 77日 |
| 10月31日 | 10月31日 | 12月31日 | 61日 |
「末締め翌々月末払い」は、その月に納めた仕事を月末で締め、2か月後の月末に払う決まりです。
上の表のように、10月1日に納めた仕事の代金が入るのは12月31日で、91日、およそ3か月後になります。
月末に納めた仕事でも、入金まで約60日かかります。
一方で、その仕事のために払った外注費や材料費、従業員の給料は、たいてい納めた月かその翌月に出ていきます。
つまり、この取引を続けている限り、いつも約2か月分の費用を自分で立て替えている状態になるのです。
この立て替えが、手元のお金を常に押し下げます。
そこに税金の納付や、大きな材料の仕入れが重なると、黒字なのに支払いが間に合わない、という状態が起きます。
入金が遅いせいで黒字なのにお金がない状態については、黒字なのにお金がない個人事業主へでもくわしく書いています。
ポイント
- 末締め翌々月末払いは、納めてから入金まで約60〜90日。
- その間、約2か月分の費用を立て替え続けることになる。
- 税金や大きな仕入れが重なると、黒字でも支払いが間に合わない。
売上が伸びるほど、立て替えも増えていく
| 月 | その月の売上 | その月に出ていく費用 | その月の入金 | 立て替えの合計 |
|---|---|---|---|---|
| 1か月目 | 100万円 | 80万円 | 0円 | 80万円 |
| 2か月目 | 100万円 | 80万円 | 0円 | 160万円 |
| 3か月目 | 150万円 | 120万円 | 100万円 | 180万円 |
| 4か月目 | 150万円 | 120万円 | 100万円 | 200万円 |
末締め翌々月末払いの取引が苦しいのは、始めたばかりのときと、仕事が増えたときです。
上の例では、新しい取引が始まってから2か月間は入金がなく、費用だけが出ていくので、立て替えは160万円になります。
3か月目からは入金が始まりますが、仕事が増えて費用も増えたため、立て替えはさらに膨らんでいます。
このように、翌々月払いの取引では、売上が伸びるほど、手元のお金が減っていくことがあります。
「仕事が増えたのにお金がない」のは、経営が下手だからではなく、このしくみのせいです。
ただし、ずっと立て替えが増えるわけではなく、売上が一定になれば、立て替えの額も一定に落ち着きます。
大事なのは、立て替えが一番大きくなる時期と金額を先に見ておき、その時期だけを乗り切る手を考えておくことです。
仕事を増やす前に、増えた分の立て替えをどう用意するかを考えておくと、慌てずに済みます。
ポイント
- 取引の始まりと、仕事が増えたときに、立て替えが一番大きくなる。
- 売上が伸びるほど、手元のお金が減ることがある。
- 立て替えが最大になる時期と金額を、先に見ておく。
末締め翌々月末払いがきつい下請けが知っておきたい、取適法の「60日」
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施行 | 2026年1月1日(法律の名前が「中小受託取引適正化法」、通称「取適法」に) |
| 呼び方 | 親事業者→委託事業者、下請事業者→中小受託事業者 |
| 支払期日 | 受け取った日から60日以内のできる限り短い期間で定める |
| 支払手段 | 手形払は禁止(2026年1月1日以降の発注分から) |
| 遅れたとき | 遅延利息(年率14.6%)を払う義務 |
| 対象の広がり | 資本金の基準に加え、従業員の基準(300人・100人)を追加 |
取適法の対象なら、代金は受け取った日から60日以内
| 発注する側 | 受ける側(あなた) |
|---|---|
| 資本金3億円超 | 資本金3億円以下(個人を含む) |
| 資本金1千万円超3億円以下 | 資本金1千万円以下(個人を含む) |
| 従業員300人超 | 従業員300人以下 |
2026年1月1日、下請代金支払遅延等防止法(下請法)は改正され、「中小受託取引適正化法(取適法)」になりました。
公正取引委員会・中小企業庁の資料によると、取適法の対象の取引では、発注した側は、物や成果を受け取った日から60日以内のできる限り短い期間で支払期日を定めなければなりません。
前の見出しで見たとおり、末締め翌々月末払いでは、ほとんどの場合、受け取りから60日を超えてしまいます。
公正取引委員会の運用基準でも、「毎月末日納品締切、翌々月10日支払」のような締め方で受け取りから60日を超えて払うことが、支払遅延の例として挙げられています。
また、取適法では、2026年1月1日以降の発注分から手形での支払が禁止され、支払が遅れたときは年率14.6%の遅延利息を払う義務があります。
ただし、取適法が適用されるのは、取引の内容と、両者の資本金または従業員の数が基準に当てはまる場合だけです。上の表は製造委託などの場合で、デザインやコンサルティングなどの委託では、資本金の基準が5千万円・従業員の基準が100人になります。
建設工事の下請負は取適法の対象外で、建設業法で決まりが定められています(一人親方の支払いが間に合わないとき)。
ポイント
- 取適法の対象なら、代金は受け取った日から60日以内に払う決まり。
- 末締め翌々月末払いは、ほとんどの場合60日を超える。
- 対象になるかは、取引の内容と資本金・従業員の数で決まる。
支払条件の見直しは、記録をそろえて相談する
| 窓口 | どんな相談に向いているか |
|---|---|
| 取引かけこみ寺(全国48か所) | 企業間取引の相談、話し合いでの解決の手続き(ADR) |
| 公正取引委員会・中小企業庁 | 取適法に反していそうな取引の相談・申告 |
| 建設工事の場合:国土交通省の駆け込みホットライン | 建設業法に反していそうな取引の相談・情報提供 |
取引先に支払条件の見直しを頼むのは、仕事を減らされないかと思うと、なかなか言い出せないものです。
ただ、取適法では、違反を公正取引委員会や中小企業庁などに知らせたことを理由に、取引を減らしたり止めたりする「報復措置」も禁止されています。
相談の前に、発注書やメール、納品の記録、請求書、入金の記録をそろえておきましょう。
そのうえで、まずは取引先に「法律が変わったので、支払日を受け取りから60日以内にしていただけないか」と、穏やかに相談するのが一つの道です。
取引先も、法律の改正に合わせて支払条件を見直している最中のことがあります。
自分で切り出しにくいときは、中小企業庁が全国48か所に設けている「取引かけこみ寺」に相談できます。企業間取引の相談のほか、話し合いでの解決の手続きも行っています。
ただし、条件の見直しには時間がかかります。目の前の支払いには、次の見出しの方法とあわせて考えてください。
個人で仕事を受けているフリーランスの方は、別の法律の決まりもあります。フリーランスの入金が60日後のときをご覧ください。
ポイント
- 発注書・納品・請求・入金の記録をそろえてから相談する。
- 違反を知らせたことを理由にした報復措置は、取適法で禁止されている。
- 言い出しにくいときは、取引かけこみ寺に相談できる。
末締め翌々月末払いがきつい間を、融資に頼らずつなぐ方法
| 方法 | 費用 | 向いている場合 |
|---|---|---|
| 出ていくお金の支払日を合わせる | かからない | 外注先・仕入先との関係が良い |
| 区切りごとの請求・前払い | かからない | 長い仕事・大きな仕事 |
| 請求書の資金化(ファクタリング) | 手数料(1回ごと) | 取引の始まりや急な増加の一時期だけ |
外注費・仕入れの支払日を、入金に合わせて相談する
| 工夫 | 例 |
|---|---|
| 仕入先の支払日を延ばす | 現金払いを、月末締め翌月末払いの掛けにしてもらう |
| 外注先への支払日を合わせる | 大きな案件だけ、入金の翌日払いにしてもらう |
| 区切りごとに請求する | 長い仕事は、月ごとや工程ごとに請求させてもらう |
| 前払いを頼む | 材料費が大きい仕事は、着手時に材料分をもらう |
翌々月払いの入金を早めるのが難しくても、出ていくお金の支払日を遅らせることはできるかもしれません。
入ってくるお金と出ていくお金の支払日の差が縮まれば、立て替える期間と金額は小さくなります。
たとえば、仕入先に現金で払っているなら、月末締め翌月末払いの掛けにしてもらえないか相談してみてください。
それだけで、立て替えの期間が約1か月短くなります。
外注先への支払いも、大きな案件だけ入金に合わせてもらえないか相談できることがあります。
ただし、自分が受ける側としてされて困ったことを、外注先に押しつけることにならないよう、一方的に決めず、必ず相手の同意を得てください。
長い仕事や材料費が大きい仕事は、区切りごとの請求や、着手時の前払いを頼むことも考えられます。
支払いを待ってもらうときの伝え方は、支払いを待ってもらうときのメール例文でまとめています。
ポイント
- 入金を早めにくければ、出ていくお金の支払日を合わせる。
- 仕入れを掛け払いにするだけで、立て替えが約1か月短くなる。
- 外注先への条件の変更は、相手の同意を得て。
翌々月入金の請求書の資金化は、手数料を年利で見て、使わない判断も
| 手数料 | 手取り | 入金の60日前に資金化 | 入金の90日前に資金化 |
|---|---|---|---|
| 3% | 97万円 | 年利 約19% | 年利 約13% |
| 5% | 95万円 | 年利 約32% | 年利 約21% |
| 10% | 90万円 | 年利 約68% | 年利 約45% |
支払日の相談でも間に合わないときは、翌々月に入金される請求書(売掛金)を買い取ってもらい、入金を待たずにお金にする方法があります。
借入ではなく請求書の売買なので、審査で主に見られるのは、自分の決算よりも取引先の信用と、取引の内容です。
上の表のように、入金までの日数が長いほど、同じ手数料でも年利に直したときの負担は小さく見えます。
ただし、手数料は1回ごとにかかります。100万円の請求書で手数料5%なら、5万円が利益から消えます。
毎月の売上を毎月資金化すると、年間で売上の何%もが手数料に消え、立て替えのしくみそのものは何も変わりません。
そのため、資金化は、取引の始まりや仕事が急に増えたときなど、立て替えが一番大きくなる一時期だけに使うのが基本です。
毎月足りない状態が続くなら、資金化は使わず、支払条件の見直しや単価の交渉を先に進めてください。
また、使えるのは、まだ支払期日が来ていない請求書だけです。支払期限を過ぎて入金されていない請求書は、資金化に使えません。
金融庁は、ファクタリングを装った違法な貸付(偽装ファクタリング)にも注意するよう呼びかけています。見積もりは手数料を年利に直す表で比べてから決めてください。
ポイント
- 資金化は、自分の決算より取引先の信用で審査される。
- 毎月使うと手数料で利益が削られる。立て替えが最大の一時期だけにする。
- 支払期限を過ぎた請求書は使えない。
新しい取引が始まって、入金のない2か月を越えたい方へ
立て替えが一番大きくなる時期だけ、入金予定の請求書を先に資金にする方法があります。手数料がいくらになるか、まずは無料の見積もりで確かめてみてください。
入金前の請求書があって急ぐなら、日本資金支援センターも候補に
| しくみ | 2社間ファクタリング(取引先に知らせずに完結) |
|---|---|
| 必要な書類 | 請求書・通帳のコピー・本人確認書類の3点 |
| 手続き | 来店不要・オンラインで完結。担当者が契約までサポート |
| 早さ・金額 | 最短即日。買取の上限は500万円 |
| 手数料 | 2%から(下限の数字。実際は審査で決まる) |
| 対象 | 法人・個人事業主(設立年数は問わない) |
ここまで比べて、「翌々月に入金される請求書はある。支払日の相談だけでは、今回は間に合わない」という方のために、ひとつ候補を置いておきます。
日本資金支援センターは、請求書(売掛金)を買い取る2社間ファクタリングの会社です。
この記事で紹介する理由は3つあります。
1つ目は、取引先に知られずに済む2社間の方式であることです。支払条件の見直しを相談しようとしている相手に、資金繰りの事情まで知られたくない、という下請けの方には大事な点だと思います。
2つ目は、書類が請求書・通帳のコピー・本人確認書類の3点と少なく、来店せずにオンラインで進められることです。融資の書類づくりや面談に疲れている方には、この軽さが助けになると思います。
3つ目は、法人・個人事業主のどちらも対象で、設立年数を問わないことです。取引が始まったばかりで決算の実績が少ない事業者にも、相談の入り口があります。
一方で、手数料の「2%から」は一番安い場合の数字で、実際の手数料は審査で決まります。架空の請求書や、支払期限を過ぎた請求書は使えません。
まずは無料の見積もりで手数料を確かめ、年利に直して、支払日の相談などと比べてから決めてください。比べた結果、使わないと決めても、それで問題ありません。
ポイント
- 取引先に知られない2社間で、書類は3点、オンラインで完結。
- 手数料の2%は下限。見積もりを年利に直して比べる。
- 毎月使う形ではなく、立て替えが最大の一時期に。
売上は伸びている。足りないのは、翌々月末までの時間だけかもしれません。
仕事を増やすほど通帳の残高が減っていく――その苦しさが、入金のしくみによるものなら。入金予定の請求書が、一番きつい時期を越える助けになるかもしれません。
- 取引先に知られない2社間。これまでの取引の関係はそのまま
- 書類は請求書・通帳のコピー・本人確認書類の3点。来店不要
- 法人・個人事業主が対象。最短即日、買取の上限は500万円
※ 手数料は審査で決まります(2%は下限の数字)。比べて合わなければ、使わなくて大丈夫です。
【この記事について】表の金額(立て替えの例・手数料の例)は架空の試算です。取適法の内容は、公正取引委員会・中小企業庁「2026年1月から『下請法』は『取適法』へ!」(リーフレット)、「中小受託取引適正化法テキスト」、公正取引委員会「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律の運用基準」、偽装ファクタリングの注意は金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」によります(いずれも2026年10月確認)。日本資金支援センターの特徴は、同社の公式サイトによります(2026年10月確認)。